京の『邦楽19楽坊』世界へ
みやこ風韻 旗揚げ 来月公演
京の ”邦楽19楽坊”世界へ
京都に拠点を置く、尺八や琴などのプロ邦楽合奏団「みやこ風韻(ふういん)」が結成された。京都市内で11月に旗揚げ記念のコンサートを開き、将来は海外公演も目指すという。メンバーたちは「古都・京都から伝統音楽の音色を世界に響かせたい」と意気込んでいる。(増田尚浩)
クラシックやジャズなどの洋楽は、京都を含め各地に楽団があるが、邦楽の場合は、多くの演奏家が東京を拠点にしているため、京都ではプロが育ちにくいのが現状という。このため、関西を代表する尺八奏者・三好芫山(げんざん)さん(67)(下京区)が、若手演奏家が集える、京都を拠点にした合奏団をつくろうと準備。国の学習指導要領で2002年、中学校の音楽の授業に和楽器学習が盛り込まれたことも、「邦楽に親しむ若い世代のすそ野を広げるために、素晴らしい演奏に触れる機会を増やしたい」という三好さんの気持ちを後押しした。
メンバーは京都や滋賀、奈良などの尺八や琴、琵琶などの演奏家19人。合奏により、曲目の幅が広がり、迫力も増し、普段とは違う邦楽の魅力が演出できる。
12日夜に清水寺(東山区)で開かれた結団式では、特別に「清水の舞台」で演奏を披露。「風韻」という名前を付けた、同寺の森清範(せいはん)貫主は、「和の音楽を京都から世界に発信して、多くの人たちの癒やしとなってほしい」と激励した。
今後は、自主公演のほか、CD制作や、学校を巡る演奏会の開催などに取り組む。三好さんは「京都を訪れる多くの観光客に質の高い伝統音楽に親しんでもらうと同時に、若者にもその良さを伝えたい。また、若手演奏家を育成し、次の世代に文化を継承できれば」と話している。
記念コンサートは11月18日午後7時から京都コンサートホール(左京区)で。チケットは全席自由で3000円。問い合わせは、みやこ風韻事務局(075・371・8972)へ。
(2011年10月16日 読売新聞)